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【7/4 開店前に】 七夕のお誘い 

下校の時刻を知らせるチャイムが鳴って、蜜琉も自分のキャンパスからカフェに向かう為に教室を出る。

少しざわついた空気がお祭り前を思わせて楽しくなる、後二週間もすれば学園祭が始まるのだ。残念ながら蜜琉の経営するカフェの案は通らなかったが、他の結社の企画を楽しむのもきっと思い出に残るだろう。

キャンパスの校門を出た辺りで、もう見慣れたと言っていい自転車が停まっているのを見つける。自転車の主が、蜜琉を見つけるとまるでご主人様を見つけたワンコのように駆け寄ってくる。

「店長、聞いて聞いてー!」

「どうしたの?良将ちゃん」

もしも尻尾があったなら全開で振ってるんだろうなぁとか思いながら、江間の嬉しそうな様子に蜜琉の顔も自然に綻ぶ。
後ろに乗せてもらってカフェにつくまでの道程、自転車を漕ぎながら江間が話を続ける。
「教室で聞いたんだけど、、もうじきタナバタつってさ、あちこちで屋台とか花火とか――お祭りがあるんだって!」

「あぁ!そういえばもうすぐ七夕なのよねぇ!年に一回だから各地でお祭りがあるのよねぇ」

「そう!そうなんだよー!何かねェ、短冊にお願い事書いたりとか屋台が出たりとか花火とかするんだって!オレ、タナバタってどういうのかよく知らないんだけど楽しそうだよねェ!」

「七夕っていうのはねぇ・・・」

天の川のほとりに住む天帝の娘である機織の巧い織女が、恋もせず一生懸命働いているのを不憫に思い、天帝が天の川の反対側に住む牽牛という牛飼いの青年と結婚させました。
しかし、結婚してからの織女は牽牛との暮しに夢中で遊んでばかり。
機織の仕事をしなくなってしまったのです。
これに怒った天帝は川の西と東に別れさせて住ませる事に。
もし、心を入れ替えてお互いが働くのであれば一年に一度、7月7日の夜に会う事を許そうと言ったのです。
それ以来、二人は今までの行いを反省し一年に一度の再開を励みに一生懸命働くようになったのです。
雨が降れば天の川の水かさが増してしまい会うことができなくなるのですが、川を挟んで嘆く二人のためにかささぎの群れが飛んできて橋を渡してくれるということです。

「だから、もし雨が降っても会えるのよぅ!年に一度しか会えない二人が会えますようにーとか、自分の願い事を書いた短冊を笹に吊るしてみたりとかするのよぅ」

「へー!知らなかったんだぜ、クリスマスみたいなもんだと思ってた!」

七夕の説明をしている間にカフェが見えてくる、先に自転車の後ろから降りてカフェの扉の鍵を開ける。まだ誰も来ていないカフェに入って、準備をしようとした蜜琉に江間が声を掛ける。

「そんでさ!・・・あのさ」

振り向くと、江間が少しだけ照れたように目を伏せ、すぐに真っ直ぐな視線を蜜琉に向けて言葉を続けた。

「今度の土曜日って空いたりしてねェかなァ!もし時間取れたら一緒に祭りいきてェなって!最近忙しそうで迷ったんだけど!オレと見にいかねェ?」

一息に言う江間を見ながら、ふふっと笑って、

「いいわねぇ!お祭り行きましょうよ!忙しいのは大丈夫よぅ、七夕、きっと他の子もお祭り見たりするだろうしねぇ」

「・・・ホントに!?」

きっと楽しいわよと続ける蜜琉を見ながら江間が姿勢を正す、そして違和感のない動作で――ちょん、と片膝をついて蜜琉を見上げる。

「―――無論送迎も致しますが、いかがでしょう、フロイライン?」

一瞬、何時もと違うちょっと大人びたような見たことのない笑顔に顔が赤くなった気がしたけど、気のせい。
すっとしゃがんで目線を合わせて、

「ぜひお願いするわっ!」

そう笑顔で返事をする。

「ン、送迎任せてっ」

「よろしくねぇ!」

どこに行きたいか、また後で相談しようねェと言って江間が立ち上がって笑う。

そう、まだ時間はあるのだからどこに行くかゆっくり決めればいい。
夏はまだ始まったばかりなのだから。




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