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【7/7 夕方】 七夕、お祭り 

7月7日、朝はちょっと不安定だったけれど夕方には雨もやんで雲も流れていった。

蜜琉はシャワーを浴びて、髪を乾かしてアップに纏める為に鏡台の前に座っていた。
赤茶色の長い髪を少し高めの位置で一纏めにしてゴムで結わえると、赤いビーズと花のビーズが揺れる簪に髪を巻きつけながら器用にくるりと返して刺し込み纏め髪を作り上げる。

後れ毛をワックスで軽く撫でつけ、前髪を分けると手前サイドに蝶の形を模した髪留を付ける、17の誕生日プレゼントにと奏がくれた髪留だ。

紅玉が動きにあわせてゆらゆらと揺れてより一層蜜琉を引き立てる、髪を纏めるのが終わったら次は軽く化粧を。
薄く軽く、肌を作って整えたらアイラインを紅く引いて、仕上げに口紅を引いて鏡を見て笑う。

立ち上がって、ほんのり僅かに香水を振る。
それから、白地に今にも飛び立ちそうな紅い蝶や花の模様が染められている美しい浴衣を着付け、帯を少しだけ変わった結びにして華やかになるようにしわ兵児帯を加えて結ぶ。
おかしな所がないかチェックしてから竹籠に入った巾着の中にお財布とハンカチと携帯、パクトと口紅を入れた。こんな時までIGCは持っていかなくてもいいだろうけれど、つい癖で入れてしまう。

外はお祭りの匂いがしている、窓を閉めて時計を確認するとお迎えに参りますと言ってくれた五時半までもうすぐだ。



携帯が鞄の中で音を立てて切れる、到着の合図だ。
階段を下りて紅い鼻緒が可愛い下駄を履いて外に出る、空は少しずつ茜色に染まろうとしていた。


「お待たせー!!お迎えに参上したよッ!!」

カフェの扉の横に着けられた見慣れた銀色の自転車、持ち主はお祭りだからと甚平を着ていた。
見慣れない姿で、雰囲気も少し違ったように見えるのはお互い様だろうか。
江間が浴衣姿の蜜琉見て一度瞬いてからにっこりと微笑むと、

「――フロイライン、今宵は一段と美しい」

「あら、貴方も今夜は特別に素敵ね?」

一瞬の後、盛大に笑って目を合わせる。

「ありがとう!早速だけど行きましょうー、屋台で食べようと思って何も食べてないのよぅ!」

その言葉に、俺も!と返して江間が自転車に跨る。
蜜琉は何時ものように跨ると浴衣が着崩れてしまうので横向きにちょんと座って落ちないようにと腕を回すと、自転車がゆっくりとオレンジ色に染まる中を走り出す。

所々で笹飾りに子どもたちが願い事を書いた短冊を飾っているのが見える、お祭りの会場に近づくに連れて浴衣姿の人が増えてゆく。
会場付近の駐輪場に自転車を停め、そこからは出店の出ている所まで歩いて行く事になる。
茜色の空が何時の間にか暮れて夜へと近づいて行く中を、下駄をカラン、コロン、と鳴らしながら屋台を冷やかしながら焼きそばとたこ焼きを二人で平らげてゆく。
お腹も膨れた頃にはぐれない様に歩くのが精一杯になるほど人で溢れていた。

「だいじょーぶ?はぐれないようにしねぇと・・・」

江間がそう言って、少し黙る。ふっと、蜜琉が江間の様子を見ると手のひらに少し頼りなげな視線を落としていた。
蜜琉は江間が手か何かそういったモノが苦手なんじゃないだろうかと、ぼんやりと考える。

「ねぇ、良将ちゃん」

「な、何?」

「良将ちゃんの好きな指ってどれ?」

祭の喧騒の中、江間がきょとんとする。

「好きな指よぅ、ないの?」

「考えた事なかったよ、そんなのッ!ええっと…店長の好きな指は?」

「あたし?あたしは小指かしらねぇ・・・じゃあその指で」

え?と言う暇もなく、蜜琉がすっと江間の指を自分の小指と繋ぐ。

「はぐれないように、ね!」

蜜琉が何時ものように笑う。彼女にとってはなんて事のない動作、ただはぐれない為の行為ではあったけれど。
携帯を見て時間を確認する、そろそろ浜辺に移動する時頃合いだ。指を繋いではぐれないように歩きながら、自転車を置いてある場所まで戻る。

来た時と同じように乗って、泣き砂の浜辺まで自転車が走る。そういえば、久しぶりの自転車での散歩だと蜜琉が江間に言うと、

「いつでもどーぞッ!プチジェットはオレの都合により営業中だからねェ!」

笑い声が夜空に響く、風が丁度よくて気持ちがいい。
待ち合わせまで、もうすぐそこ。

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