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空の色 

全体依頼に行く事にしたのよねぇ。
初めてのやや難でドキドキしてるんだけど、行かなきゃって思ったんだもの。
予報士の子もすごい辛そうな顔を押し殺してたって思う、多分すごく辛い思いをする事になるのかもしれないけれど。

でも、どんなに泣く事になったって依頼中は泣かない。泣くのは後でできるもの、ね。

後ねぇ、木乃香ちゃんも一緒の依頼なのよねぇ!ちょっとだけ気が楽になったのよ、勝手にだけどね(笑)


で、教室で少し相談してからカフェにむかったのねぇ。

「あ、いた!店長、ちょっとちょっと!」

カフェに着く五分前、少しだけ慌てた感じの良将に呼び止められた。立ち止まって振り向くと、駆け寄ってきて真正面に立つ。

「はーい、どうしたのー?良将ちゃん」

少し冷たい風で乱れた髪を押さえて首を傾げて蜜琉が返事をする。

「コレ、前にあげた奴なんだけど手入れしといたから、使って?」

そう言って渡されたオレンジ色のゴーグルは、確かに竜宮城決戦の前夜にくれたものだ。昨日カフェの終わり際にちょっと借りていい?と言われて渡したゴーグルは、使い込まれてるけど綺麗に手入れされていて、蜜琉にはそれが少し光って見えた。そして、ふと気付く。

「ねぇ、良将ちゃん。ここ、何か掘ってある?」

渡す前にはなかった小さな文字のような跡。英語じゃない異国の言葉に見える。

「掘ってある文字?・・・ないしょー」

悪戯っ子の様に笑う良将に、ナイショなの?と笑って蜜琉がゴーグルに刻まれた文字を指で撫でる。

「わざわざ、ありがとうねぇ、良将ちゃん!」

ゴーグルから良将に視線を戻して、改めてお礼を言う。

「難破船の依頼、出るって聞いて」

真剣な顔をされた。少しだけ、いつもと違うような表情に蜜琉の背筋が伸びる。

「・・・オレ、依頼いったばっかで人数あぶれちゃってさ、行けねェんだけど」

――――気をつけて。

とそう心配そうな、どこか揺らぐような目で見つめられる。すぅっと息を吸って、蜜琉が答えた。

「・・・ありがとっ!大丈夫、気をつけて行ってくるから、ね?」

精一杯、今できる笑顔を向けて蜜琉が笑う。きっと彼が言いたいのはそれだけじゃないのだろうけれど、精神的にきつい目に合うのを心配しているのだろうけれど。

大丈夫だと、もう一度呟く様にして微笑んだ。


無数の傷に混じって、小さな文字が刻まれている。―――汝 身を挺して彼女を守れ。

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