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【5】Flavor Of Life 2 

信じたいと願えば願うほど
なんだかせつない
「愛してる」よりも「大好き」の方が
君らしいんじゃない?
The flavor of life




その日は一日がやたらと早く、気が付いたらもう閉店の時間で皆を見送ってからカフェの玄関を閉めたのは20時も過ぎる頃だった。
ふぅ、と一息ついてエプロンを外して階段を昇る。浴槽にお湯を溜めてから部屋へ向かう。
不意に朝の事を思い出して、また耳まで赤くなる。
着替えを持って浴室に移動して湯気の立つ湯船に浸かった。
ゆっくりとお風呂に浸って落ちつこうとしたけれどずっとぐるぐるしていて頭から離れない。
思い出して赤くなっているのか、茹ってしまったのかわからなくなって部屋に戻って髪の毛を乾かして寝る準備を整えた。


ベッドに潜り込んでもやっぱり落ち着かなくて、ごろごろじたばたしてしまう。

「オレ、店長がいい。最初の頃からずっと、店長がいいなって思ってたんだ」

思い出せば思い出すほど、自分の中の辻褄が合わなくてどうすればいいのかわからなくなる。
好きな人がいるはずなのに、自分を抱きしめて、自分がいいってどういうことだろう。

「――――ありがとう、蜜流」

いつも、店長って呼んでたのに。一度だけ名前を呼ばれた事があったけれど、あの時はまだ少し発音が違ってた。
だから、ちゃんと名前を呼んでもらえたのが嬉しかった。
嬉しかったから、優しい手のひらが自分の唇に触れたのに気が付くのが遅れて、顔を寄せられたのにも反応できなくて。
そこで、あれ?と気が付く。確か良将は手のひらが苦手だったのではなかろうか。
でも、あの時自分の唇を覆ったのは彼の暖かい手のひらだった。
手のひらの感触に、また顔が熱くなる。
だって、男の人と付き合った事なんて半年前のあれっきりだ。それもすぐに消えてしまったからその手の経験なんてない。
普段、蜜琉は無自覚に男女の別なく人に触れているから、そうは見えないだろうけれど。

「何か、言えばよかったぁ・・・!」

振られてしまっても、それでもよかったのに。
貴方には好きな人がいるから迷惑かもしれないけど、好きだって言ってしまえばよかった。
そうしたら、泣いて次の日にはスッキリできたかもしれないのに!

『Like』の好きじゃなくて『Love』の好きだと言ったら困るだろうか。
考えるだけで心臓がドキドキして泣きそうな気持ちになる。
寂しいわけでもないし、悲しいわけでもない。昨日泣きそうになったのとは違う感情だ。

あぁ、でもどうしよう。
そんな事を言うのは恥ずかしくて落ち着かない。
笑われるだろうか。
困った顔をするだろうか。

でも、できたら傍にいたい。

夏の終わりに、また一緒に遊ぼうと約束したのを思い出す。
指切りの約束のように繋いだ小指。

うん、泣いてもいい。
そう思いながら蜜琉の意識はまどろんでいった。



ダイアモンドよりもやわらかくて
あたたかな未来
手にしたいよ
限りある時間を
君と過ごしたい
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