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【6】Happy Birthday to you you 

Happy Birthday to you you
Happy Birthday to you you
あなたに贈るバースディソングよ OK?



あれから数日、まだ蜜琉は言えないまま過ごしていた。
だって言うタイミングが見つからない。
なんだかんだで誰かいるし、二人になるチャンスがない。
GTに誘えばいいだろうかとも思ったけれど、そんな場所で言うのもなんかヤダ。

そうして、良将の誕生日が目前に迫っていた。
誕生日プレゼントはもう決めてあった。
半年前には好きそうだし、幸運があればいいと思って選んだだけの物だったけれど、今は違う。
割れてしまった物の代わりではない、それとは少しだけ意味の違う贈り物だ。
綺麗にラッピングしてもらって帰路に着く。
明日、どうやって渡して言えばいいだろう。
それだけ考えながら眠りについた。
翌日はよく晴れていて、気持ちのいい冬空だった。
土曜日だったけれどカフェは貸切にして皆でお祝いする事にした。
もうどうせだからと、その月に誕生日だった雪白とグリュネイスの誕生日も一緒に祝ってしまう事になって、随分と賑やかなパーティになった。

夕方からおおよそ三時間、用意した料理は綺麗になくなって大きめの誕生日ケーキ三つも片付いた頃にお開きになる。簡単に後片付けをして遅くならないうちにと皆を見送った。
手を振って見送って、パタンとドアを閉じる。
結局言う暇もなかった、一緒に渡そうと思ったプレゼントも結局渡せてない。
ケーキがプレゼントだと誤解されてしまったからだ。

追いかけたら間に合うかもしれないけど、どうしよう。
ずるずると言うのを先延ばしにしてもいい事なんてきっとないのに、あぁもう!
時計を見ると皆を見送ってから15分、まだ大丈夫間に合う。
携帯を掴んで履歴から番号を呼び出す、忘れ物があるからなんてチープすぎるだろうか。
四回目のコール音が途切れて、もしもし?と声が耳に届く。

「あ、良将ちゃん?あのね、今どの辺りにいるのかしら」

『今さッき、雪白たちと別れたとこでさ。道が別れる辺りわかる?その辺だよ』

どうしたのと笑う声に、忘れ物があるからそこまで行くわと言うと、じゃあ俺も向かうからと言って電話が切れた。
コートを掴んでポケットにプレゼントを入れ、ぺたんこの靴のまま走り出す。
空にはぽかりと満月が浮かんでいて、寒いけれど綺麗だった。
程なくして、自転車に乗った良将と会う事ができた。

「寒いねェ!どしたの、忘れ物なんか明日でもよかったのに」

「明日だと少し遅いから、あのね、あの、これ」

そう言って綺麗にラッピングされた包みを渡す。

「えー!なにこれ開けていい?」

頷くと、自転車から降りてごそごそと包み紙を開けて中身を取り出す。
代わりじゃないのと言おうとしたけれど、その言葉は良将の嬉しそうな顔を見たら言わなくてもいいかと思って言わなかった。

「新しい子だねェ。うん、ありがとッ!今度こそ大事にすッから」

なんだか、それだけでいいと思ってしまったけれど、言わなくちゃ。
ちゃんと伝えなきゃと思いながら、良将が左腕にバングルを嵌めるのを見ていた。
左腕を満月にかざして子どもの様に喜んでいる良将の服の裾をきゅっと掴む。

「ン、どしたの?」

「あ・・・あのねぇ、夏の終わりにした約束、覚えてる?」

夏の終わりにした、また一緒に、二人でどこかに行こうと言った約束。
覚えてなくてもいいと思いながら口にする。

「一緒に、また遊びに行こうッて言った奴?」

少しだけ驚いたように良将が蜜琉を見る。
こくん、と頷いて答える。

「行きたいとこあるの、今度一緒に行ってくれる?」

「もちろんッ!何時でもいいから言ってねェ!」

言おうとした言葉とは違う言葉になってしまったけど、約束を覚えていてくれた事が嬉しくて言いたい言葉はもうその時でいいやと蜜琉は思った。
ずるずると先延ばしにしている気がしたけれど、良将が嬉しそうな顔をするから蜜琉も一緒になって笑った。

「誕生日おめでと、良将ちゃんがいてくれてよかった!」

素直にそう言って、もう一回蜜琉が太陽のように笑った。
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