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【7】魔法のコトバ 

あふれそうな気持ち
ムリやり かくして
今日も また
遠くばっかり見ていた




ふっと覘いた教室で見つけたお誘い。
結構前から、行ってみたいとテレビの中の風景を羨ましく思っていたのを思い出す。
光の祭典、人だかりもすごいだろうけれど一度は行ってみたい。
一日、どうしようか考えた。
どうせ行くなら、うん、ね?


翌日、一日が終わるのをそわそわしながら待って、鞄を引っ掴んで教室を飛び出した。
よく会う時間と場所なら、大体わかっていたし。
少しの時間をデスパレードで潰そうと扉を開ける、一番に目が合う茜に手を振ってから光の祭典を取り上げた雑誌を見て過ごす。
それでもそわそわしていたのは隠しきれなかったようで、茜にどうしたのかと問われると少しだけ上ずった声でなんでもないと答えた。
時計を見ると丁度良い具合の時間で、首を傾げている茜に、またねと慌しく挨拶をして席を立つとカフェに向かってゆっくり歩き出した。

まだ少し明るい中をそわそわしながら歩く、なんだか楽しくなってきて笑ってしまった。
その後で、少しだけ胸がぎゅっとしたけれど。
視線の先に、自転車に乗ったオレンジ色のツナギを見つける。
丁度信号待ちで声を掛けるには丁度いい。

「良将ちゃーん!良将ちゃん!!」

すぅっと息を吸い込んで、手を振りながら声を掛ける。
ふっと目線を上げて、自分に意識を向けた良将に駆け寄った。

「あ、てんちょ!ご機嫌いかがー」

ゴーグルを上げて蜜琉に笑いかけた良将に、上々よと笑いかけて鞄に入れていた雑誌を取り出した。

「あのねぇ、あのね、こないだ言ってた行きたいところなんだけどね?」

なんだか何時もみたいに誘えない、少しもじもじしてしまう自分を何とか抑えて雑誌を見せながら話を続ける。

「ここなんだけど、光の祭典でね。すっごく綺麗なんですって!良将ちゃんは行った事ある?あたしはまだないんだけど、ちょっと遠くて中々行けないのよねぇ」

「・・・うわーすげェ!生で見てみたいねェこのイルミネーション!」

自分も行った事がないと笑って、蜜琉が出した雑誌を楽しそうに見ている良将の横顔を見て蜜琉も笑った。

「場所は?」

「場所はねぇ、神戸なのよぅー。新しいGTのあるところの近くだから、ついでにGTに行くのもいいけど・・・折角だから、普通に遊ぶのもいいかなぁって」

少しずつ小さくなる声は自分でもわかったから相手にもわかったかもしれない。

「ああなるほど、ちょい遠いか・・・。ンー、けど帰りは寝てればいいしねェ。」

「・・・だめ?」

なんとなく頬が熱いから、赤くなってるかもしれない。
夕焼けの光のせいだと思ってくれたらいいなと思いながら良将の返事を待った。
不意に弾けた様な笑いが聞こえて、ぱっと顔をあげると良将が可笑しそうに笑っていた。

「オレ、店長のお誘いなら月にウサギ見に行こうって言われてもOKする自信あるよ!」

「それも素敵ねぇ、ほんとにいるかもしれないわよぅ?」

笑い声につられて蜜琉も笑い出す。
ひとしきり二人で笑ってから良将が口を開いた。

「行く行く、勿論!じゃあGTじゃなくて、遊びに行こー!ちょっとその近く調べて見るねェ、デートしようなんだぜ!」

デートという言葉に何故だか吃驚して蜜琉がほんの少し目を丸くする。

「・・・蜜琉さえ、お嫌でなければ!」

そう言って茶化す様に良将が笑ったから、大した意味じゃないのだと思って蜜琉も笑って言う。

「あら素敵!当日が楽しみねぇ!」

そうして、何度目かの赤信号が青に変わるのを待ってカフェに向かって歩き出した。
あんまり自然に名前を呼ばれたから、蜜琉は気が付かなかった。
自分の名前を、ちゃんと呼んでくれている事に。
それに気が付くのはもう少し先の事で。



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