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【8】魔法のコトバ 2 

魔法のコトバ
口にすれば短く
だけど効果は
凄いものが
あるってことで






信号待ちをしながら約束した日から数日後。
約束の日、蜜琉はそわそわしながら準備をしていた。
待ち合わせの時間は九時、場所は鎌倉駅前。
乗り継ぎの電車と時間はメモしてあるし、うん大丈夫。
髪の毛は軽くアップさせ、Aラインのホワイトコートにウール素材の黒のチェックスカート、トップスは薄手の体にフィットしたニット。
ブーツはたくさん歩くだろうからヒールが低めの歩きやすいやつにした。
鞄も大きくなく、手頃なサイズのを。
お化粧は薄目で、こないだ買ったばっかりのコフレのルージュを引いて、セットになっていた香水を薄めに付ける。
側にいればほんのりする程度の優しい香りだ。
忘れ物がないか確認してから、待ち合わせ場所まで少し早足で歩いた。
おかしくないかな、大丈夫かしら。
そんな事を考えながらマフラーを軽く押さえて駅前に着く。
時計に目を落とすと九時ちょっと前で、改札口まで行くと待ち合わせ相手が手を振っているのが見えた。
手を振り替えしながら駆け寄って、お待たせと声を掛けた。
さっき来たとこだと言う良将も、何時もと違った格好だった。
黒の暖かそうなジャケットと細身のボトム、赤い手袋とニットの暖かそうな帽子。

「やっぱりさァ、学校とかカフェの外で会うと新鮮だよねェ」

「そうねぇ、良将ちゃんがツナギじゃないものねぇ?」

「てんちょだって学校の制服じゃないしカフェの制服じゃないよ?」

顔を見合わせてクスクス笑ってから切符を買って神戸まで――――
光の祭典が行われる場所の最寄り駅に着いたのは一時過ぎだった。
お昼を中華街で食べようと我慢していたから二人ともお腹がぺこぺこで、何を食べようかと相談しながら駅から中華街へと歩を進める。

「やっぱりラーメンかしら?」

「飲茶も捨てがたいんだよねェ」

折角だし食べたい物を全部食べればいいって話をして中華街の中を歩く。
屋台は山ほどあるし、食べ歩きも楽しい。
お互い買った物を持って腰を落ち着けれる場所で頬張る、半分ずつしたりしてそれはとても楽しい時間だった。
お腹がいっぱいになったら、少し散策を。
中華街の中の、少し妖しいお店とかを覘いては笑う。

「てんちょ!これ見てこれ!!すっげーお面!!」

「あはは、被んないでよぅ、笑っちゃうじゃないのー!」

中国雑貨を扱うお店によくある、お面というよりは被り物で笑ったり、チャイナ服を見て似合うかどうか話たり。

「てんちょは似合うよねェ、こういうの」

「そぅ?良将ちゃんもカンフー服とか似合いそうよぅー」

鏡の前で当ててみたり、独特の靴を合わせたり。
結局、買いはしなかったけれど玉装飾と呼ばれる飾りの、蝶のストラップを買った。
自分へのお土産も買ったし、蜜琉が満足して笑うのを良将も嬉しそうに笑った。
少しずつ日が暮れだして、時計が五時を過ぎる前に蜜琉達は今日のメインである光の祭典が行われる場所へと歩いた。
中華街からは近く、人もかなり増えてきていた。

「ほんとにすごい人ねぇ・・・!」

蜜琉がきょろきょろとするのを見ながら、良将がはぐれないようにと笑った。
どこで見ようかと事前に決めていた遊園地と名の付いた公園へと向かう。
そこでは公園を囲むように光の壁が立っているのだ。
正確にはまだ点灯されていないけれど、なるべく人が少なく邪魔になりにくい場所で点灯されるのを待つ事にした。
時計を見ると、点灯される時間までは後少し。
それまで、他愛もない話をして過ごす。
蜜琉はすごく楽しくて、少し胸が切なかった。
点灯までもう少し、二人でわくわくして光の回廊を見上げる。
微か遠くに聞こえる賛美歌の歌声、鐘の音が聞こえると遠くから一気に光が灯り始める。
ほんの僅かな時間で蜜琉たちがいる場所まで鮮やかな光が灯って、一斉に感嘆の声が沸きあがる。

「すごーい・・・!!綺麗ねぇ・・・!!」

「すっげェ・・・!!」

二人も、例に及ばず見上げて感嘆の声を上げた。
それから、光の回廊を端から見る為に混む中をゆっくりと歩く。
手は触れる距離で、イルミネーションは綺麗で。
クリスマスなんかも近くて、言わなきゃいけない言葉を思い出す。
だってクリスマスに振られるのはちょっと嫌だ、それなら今ちゃんと言って振られて、さっぱりしてクリスマスを迎えた方が絶対いいに決まってる。
だから、人並みが少しだけ途切れていて立ち止まって見ても大丈夫な場所で、歩くのを止めて良将の服の裾をきゅっと引っ張った。

「ん、何?どうしたのてんちょ・・・」

「あのね、良将ちゃんに言わなきゃいけない事があるの」

きょとんとした良将の顔を恥ずかしそうに、でも真っ直ぐに見上げて蜜琉がピンク色に染まった唇を開く。

「良将ちゃんに好きな人がいてもいいの、あたしね、良将ちゃんが一番好きよぅ」

そうして、頬を寒さのせいだけじゃなく赤くして返事を待った。




誰も知らない
バレても色あせない
その後のストーリー
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