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【9】魔法のコトバ 3 

魔法のコトバ
二人だけには わかる




光の祭典を見たらもう帰る電車とかなくなっていて、二人で困ったように笑って、どうしようかって話ながら手を繋いで歩いた。
定番なカラオケオールにしようと目に入ったカラオケ店に入る。

「何歌おうか、ねェ」

「あたし最近の曲あんまり覚えてないのよねぇ」

「じゃあ、オレこれにしよーッ」

カラオケのリモコンをピピピと操作して良将が入れた曲。


起こしちゃったかな
じゃあ
ちょうどいいや
朝まで付き合ってよ
窓の氷が
溶け出すころには
きっと帰るからさ



低くて甘い優しい声が心地いい。
何時も喋っているのとは違う不思議な声。
優しい歌、優しい人。
好きな、人――――

「歌わないの?」

「え、あ、歌うわよぅ!」

聞き惚れてたなんて言えなくて、慌てて思いつく曲を入れる。
嬉しそうに笑っている良将を見ると、なんとなく恥ずかしくなるけれど胸の中がじんわりとあったかくなるから嫌じゃなかった。
思いつく限りの色々な歌を歌って、気が付いたら肩を寄せ合って寝ていた。
目が覚めると良将が笑ってて、蜜琉はなんだか恥ずかしいけど幸せな気持ちになれた。
朝の7時過ぎにカラオケを追い出され、取り敢えずシャワーだけでも浴びたいという話になりシャワー付きのネットカフェに入る。
フローリングのペアシートを取って、お互いシャワー室へと移動する。
蜜琉がシャワーを浴びて身支度を整えてから席に戻ると良将がパソコンに向かって何か調べていた。

「折角だから、大阪から帰ろうかなって。ちょっと遊んでけるかなって」

「あら、いいわねぇ!大阪って一回だけ行った事あるんだけど楽しかったわよぅー」

覗き込んで画面を見る蜜琉から漂う匂いに良将が顔を上げる。

「てんちょ、なんか何時もと違っていい匂いだねェ。昨日も思ったんだけどさ」

くん、ともう一度匂いを嗅ぐ良将に蜜琉が笑う。

「香水、付けてるのよぅ。普段はあんまり付けないんだけど」

特別、と蜜琉が呟いたのを聞いて良将が少し照れたように笑った。

そして、その日は本当のデートを満喫したのだった。
大阪で遊んで帰って来たらもう夜で。
とりあえずお風呂に入って、何時もみたいに次の日の準備をして。
恥ずかしくてどうしようもなるから思い出さないようにしてたけど。

でもベッドに転がったらやっぱり思い出してジタバタした。

「だってそんな、好きな人って、店長以外に誰がいるっていうのさ…!」

だってそんなの言われ慣れてないもの。
思い出しただけで頬が熱くなる。
思い返したら、じゃあ今まで言ってくれてた大好きとか、そういうの全部本気だったって事で。
ずっと、ずっと他の皆と一緒の大好きだって思ってたから気にしなかったのに。
これからは違う大好きだってわかるから、どうしたって意識しちゃうじゃない。

「…オレが店長ので、店長がオレのってのは駄目かなァ…!」

ジタバタする、ジタバタする。

「二人きりになるのに、いちいち理由とかいらねェようになりたいんだ」

ぽんっとその言葉が思い出されて携帯を手に取る。
理由がなくても、メールしたり電話したりできるのは素敵だ。
良将が言ったのは多分そういう事で。
蜜琉は頬が赤いまま携帯のボタンをぽちぽちと押してメールを送信した。

電話が掛かってくるのはそれから10秒後の事。



おかしくて
うれしくて
また会えるよ
約束しなくても
会えるよ
会えるよ
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