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X'mas Spirit! 

もう後数日もすればクリスマスで、蜜琉は少し焦っていた。
クリスマスに、何をプレゼントすればいいのかまだ迷っていたから。
他の人に渡す物は決まっていて悩む事なんてなかったけれど、肝心の人に渡す物が決まらないのだ。
取り敢えず今度の日曜に買いに行こうか、色々考えながら薄闇の中カフェに向かって歩いていると、声をかけられた。

「あ、玖凪クン玖凪クン」

「はぁい、あら菫ちゃん!」

名前を呼ばれて振り向くとそこには蜜琉の友人の一人である鬼頭・菫がいた。

「ちょっと聞きたいんだけどね」

「うふふ、なんでもどうぞ!」

「クリスマスプレゼントって何贈るもん?」

もの凄い予想外の問いかけに蜜琉の頭が一瞬思考を止める。
そこから、すぐにフル回転させておおよそ相手の言わんとする所を考える。

「それって、女の子にかしらー?」

「そうだねぇ」

「もしかして茜ちゃんに?」

「うん、よくわかったねぇ。色々お世話になってるからちょっと」

なるほどね、と蜜琉が笑う。

「何をあげたらいいのかさっぱりわかんなくってね!玖凪クンならこういうの詳しそうだから聞いてみようかと」

「そんな事ならお安い御用よ!あたしもねぇ、丁度買いに行こうと思ってたから土曜にでも一緒に行かないかしら?」

どうせ自分も買いに行こうと思っていたからと菫に言うと、じゃあそれで!となり土曜の13時にと約束を交わして帰路に着いた。
街はすっかりクリスマスムードで、赤と緑の飾りつけが目に入る。
長身の男女の二人連れはそことなく目を引いた。
端から見ればカップルだと思われただろうが如何せん本人達にその気はない。

「でねぇ、こないだ茜ちゃんと買い物行った時なんだけどねぇ。香水に興味あるみたいだったから、香水とかいいんじゃないかしらー?」

「んー、香水……でも私さっぱり分からないんだけど!」

「やっぱり女の子な訳だから綺麗なのとか可愛い瓶がいいと思うのよねぇ。匂いは、優しい・・・菫ちゃんが好きだと思う匂いでいいと思うわよぅ」

蜜琉の提案に、少し考えるようなポーズを取りながら二人で百貨店へと入っていく。
化粧品売り場に着くと菫が若干面食らったような顔をした。

「・・・・・・わー、未知の領域ー・・・」

その言葉に蜜琉が軽く噴き出した。
確かに、男性にとって化粧品売り場なんてそうそう来る場所でもないだろう。
まして、高校生なのだから。

「香水売り場はこっちねぇ」

蜜琉に案内されるままに少し広めの香水専門店に着く。

「・・・・・・数多」

「そりゃねぇ、新作とか一杯出てくるし。あたしもちょっと欲しいものあるから、菫ちゃんここで選んでてねぇ」

え、というように菫が蜜琉を見る。

「・・・・・・あれ、此処に置き去り?」

「だって菫ちゃんが選ばなきゃ意味ないじゃないのよぅ!」

そんなものなのか、と納得した菫に、15分もかかんないで戻るからと蜜琉が笑って化粧品売り場の中央へ消えていく。
残された菫は多少呆然としつつも前向きに選ぶ事に専念する事にした。

蜜琉はすんなりとお目当ての物を買って、クリスマス仕様の小さな手提げに入れてもらって香水売り場に戻ってくる。

「お待たせ!どーう?何かいいのあったかしら」

「何か段々分かんなくなって来たんで最初の方の奴に・・・・・・」

なんとなく憔悴したような菫の持つ香水を見ていいんじゃないかしらと蜜琉が笑うと、菫がレジへと向かった。
店員に贈り物ですかと問われ、頷くとクリスマスらしいラッピングが施される。
綺麗な手提げに入れてもらって受け取ると、次は蜜琉の買い物だとその場を離れた。

「・・・・・・しょっちゅうあんな所行って色々探せる人は凄いねぇ」

「女の子は常に頑張ってるって事ねぇ!」

男性向けのカジュアルな洋服が置いてある売り場へ行くと、蜜琉があれでもないこれでもないと迷う番だ。

「ああ、誰か宛かは分かったけど私で大丈夫なの?」

「身長5cmくらいしか変わんないし、大丈夫だと思うのよねぇ。体型もそこまで変わる訳じゃないし!」

菫は真剣な表情で選んでいる蜜琉に、そう?と相槌を打ちながら大人しく着せ替え人形よろしく付き合っていた。
最終、三着のうちからどれにしようか迷っていたがなんとか決まったようでレジに抱えて持っていくのを、ほっとしたような顔で菫が見送った。
綺麗にラッピングしてもらい、少し洒落た大き目の手提げ紙袋に入れてもらってレジを離れる。

「お待たせ!菫ちゃんはこの後何か予定ある?」

「いや、特にないけどっ」

「それならお茶して帰らない?奢るわよぅー」

「問題ないけど、この場合奢るのは私の気が!」

あら、じゃあ割り勘かしら、と話ながら百貨店を後にする。
それじゃ意味ないんじゃないかとか、お互いに奢れば問題解決でしょう?等と笑いながら至極普通の友人の会話をしてお茶をした。
そういえば、二人でこんな風に出かけるのは初めてだと思いつく。
結社で出会ってから約一年で、なんだかんだで一番仲良くしている男の友達ではないだろうか。
帰り際、お互いの帰路に着く前に蜜琉が声を掛ける。

「ねー!菫ちゃん!」

「何かな?」

「あたし菫ちゃんの事好きよぅ、大事な友達として!だからっていうのも可笑しいけど、これからもよろしくねぇ!」

笑顔で言う蜜琉に、少し瞬いてから菫も笑う。

「どうも有難うね! 私も玖凪クンは好きだよ」

「うふふ、ありがとっ!ちなみにどのくらい?」

茶目っ気たっぷりに蜜琉が問い返すと、菫は真面目な顔で続ける。

「デテクットル二十二次元人と同じくらい!」

「あは、それは光栄の至りって奴ねぇ!」

くすくすと笑いながら分かれ道で手を振る。
それじゃ、また学校で!
また学校でねぇ!

そんな他愛ない約束ができるのも卒業までだと思うと、少し切なくもなったけれど。
友達なのはきっとどこにいたって変わらないのだからと強く思いながら帰路に着いた。



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