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Merry Little Christmas 後編  

短時間でシャワーを浴びて髪を乾かして準備をする。
着ていく服は前日から決めてたから迷わないし、メイクもごく簡単に。
持っていくのは携帯と財布と化粧直しの入ったポーチを入れた鞄、それと大き目の紙袋。
朝から用意してあったそれを持って駅へと向かう。
マフラーを抑えながら駅の構内に入り、ロッカーに紙袋を入れて待ち合わせ場所である切符売り場へ向かうと、良将が待っていた。

「お待たせ!行きましょっか」

「へーき、待ってねェから!切符これねェ、行こうぜ!」

蜜琉に切符を渡して笑いながら良将が先を急ぐように蜜琉の手を引いた。

お目当てのキャンドルライトは既に数え切れないほど飾られており、ビルのイルミネーションと合わさって幻想的な風景を生み出していた。
しんと冷える空気の中、揺らめく優しい光の中を歩くのは心が暖かくなるようで知らずと笑みがこぼれていた。

「綺麗ねぇ・・・!」

すでにキャンドルライトにささやかな願い事を書いて、並べて置いてきた。
ささやかすぎると怒られたけれど、蜜琉にはそれでも充分なくらいだと思ったのだ。
だってほぼ毎日会ってるのだから、それくらいはささやかでいいかなって。
そう言ったら、もっと欲張ってよと笑われた。
欲張るのと我侭は違うと思うのよ、と悩むともうひとつ笑顔で良将が言った。

「わがまま、聞きたいんだ、甘えてほしいし甘やかしたい。願い事なんでも叶えたげたい」

「すっごく悩むわ、それって!」

贅沢すぎるわ、と笑うと小指に真新しい指輪が光る蜜琉の右手を握って、いいの!と良将がポケットに捻じ込んだ。
そのまま二人で笑いながら、神戸で見たイルミネーションの荘厳さとはまた違う優しい灯りの美しいキャンドルライトを楽しんだ。
屋台で軽くお腹を膨らませて来た道を戻って電車に乗り込んだ。
電車は混んでいたけれど、くっついていられるのがなんだか嬉しくてやっぱり笑っていた。


駅に着くと、コインロッカーに入れていた大きな紙袋を取り出す。

「おっきな紙袋だねェ、何入ってるのさ」

そう問われて少し悪戯っ子のような顔をして蜜琉が微笑んだ。

「ケーキ、クリスマスだもの。食べてもらおうと思って作ったの、小さめだから一人で食べれると思うのよぅ」

そう言って渡そうとすると良将の顔が少し寂しそうな拗ねたような顔になる。

「帰っちゃうの?二人で食べよーよ!うち来ればいいじゃン!」

「行ってもいいの?」

「当たり前でしょー!」

じゃあ少しだけ、と蜜琉が頷いて笑った。
自転車の後ろに乗ってアパートへと向かう、六月の終わりにアパート前までは行った事があるけれど部屋には上がった事がないと蜜琉が笑う。狭いけど掃除はしてあるんだと、そんな話をしていると時間はあっという間でアパート前に着く。
自転車を置き場所に停めて一階の部屋に向かう。

「はいどーぞ!入って入ってー」

「うふふ、お邪魔しまーす!」

ドアを開けてもらって中に入ると、男の子らしい部屋と言うのに相応しい部屋が広がっていた。
ブーツを脱いで、座ってと言われた場所に移動するとちらりとぬいぐるみが目に入る。

「ねぇ、良将ちゃん。これって・・・」

「ン?あぁ、それねェ!誕生日にもらったんだ、触り心地よくってさー。抱き枕にしてンのッ!」

クッションを背に座った蜜琉の前を通りすぎてロフトの上のベッドに置いてあった大きな虎のぬいぐるみを下ろして蜜琉に渡す。
嬉々として大きなぬいぐるみに抱きつく蜜琉を見ながら良将がお茶を入れてにキッチンに立つ。
紅茶を淹れて戻ってきてもぬいぐるみを抱いて笑っているので少しむくれた様に取り上げて横に置き、自分の場所と言うように隣に座った。

「ぬいぐるみはおしまいッ!ケーキ食べようよー」

「はぁい」

くすくす笑って紙袋からケーキ箱を取り出してテーブルに出す。
昼間に出したのとは少し違った小さめのブッシュドノエルだ。

「うぁー、昼間も思ったんだけど美味そうなんだぜ・・・!」

「昼間のとは少し違うけどねぇ、さぁどうぞ!」

切り分けるほどの大きさでもないと、そのまま端から二人で食べていく。
美味しいと食べてくれる笑顔を見て蜜琉も嬉しくなって笑う。
トレーの上に乗っていたケーキが綺麗になくなる頃にはすっかり満腹になっていた。
紅茶のおかわりを淹れてくれている間に、紙袋から大き目の包みを取り出して良将を呼ぶ。

「はい、これ!クリスマスプレゼント」

「わ、わー!開けていい?」

もちろん、と蜜琉が頷くと少し丁寧にリボンを解いて中身を取り出す。
取り外しのきくフードの付いたミリタリーコートを見て良将の顔が輝くように明るくなる。

「すげー、かっけー!ありがとうッ」

ほわっと笑ってコートを羽織る良将に、よかった似合ってると蜜琉が微笑むとより一層嬉しそうに笑った。
お互いの笑顔だけで暖かい気持ちになれるのは、なんて贅沢で幸せな事だろうと思う。
だから、ずっとこのまま幸せでいれたらいいと願った。
良将も同じ気持ちだったらいいなと思いながら――――


Have yourself a merry little Christmas
Make the Yule-tide gay
Next year
All our troubles will be miles away
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