スポンサーサイト 

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

Graduation その夜―― 

なんだかあっけないくらい簡単に卒業式が済んじゃったなぁって気分!
でも、親愛なる友達皆と卒業できたのはすごい嬉しかったのよぅー。
長いような短いような時間だったわねぇ、楽しかった事しか思い出せないくらいに!

で、卒業旅行もどこ行くか決めてきたのよぅー!
うふふ、香港!100万ドルの夜景って奴よね。
今回は泊りがけの旅行だし、女の子オンリーで行こうって考えてるのよね。
世界ちゃんと、鹿菜子ちゃんと行こうかしらって。
奇しくも全員結社長なのよねぇ、中々楽しい旅になりそうでしょう?

それから、最後の下校は―――


「お待たせよぅー!」

「へーきッ!蜜琉こそ、もういいの?」

暗くなるまで待っていてくれた彼に蜜琉が微笑む。
高校最後の1日だから、もうちょっとくらい待つよと言ってくれる良将に緩やかにポニーテールを揺らして大丈夫と答える。
最後の日だからこそ貴方と一緒にいる時間は貴重なのよと伝えると、良将が照れ臭そうに笑った。

「蜜琉の制服姿が見れるのも今日が最後なんだねェ」

「やーねぇ、しみじみと言わないでよぅ!」

すっかりお馴染みになった帰り道を、少し前から約束していた“蜜琉のお願い”を叶える為に良将の部屋へと自転車が滑らかに進んでいく。

「だーッてさァ!お迎えも最後になんのかなッて!」

「・・・だったらあたしがお迎えに来ちゃうわよぅ」

「免許取るし?」

「そうよぅ、車でお迎えってかっこよくなぁい?」

隣に乗る勇気があればだけど、と蜜琉が茶化すと良将が一番最初に乗せてよと笑った。
何時もより少しゆっくりと進んでいた車輪がアパートの前で止まる。
上がってと良将の声に促されて中へと入る、部屋に上がるのは三回目になるだろうか。
クリスマスの時、バレンタインデーの時、それから、今日。
用意されていたクッションを背に座り、良将がお茶を淹れて戻る前に持ってきた小さな箱をテーブルへと置いた。

「はい、どーぞ!」

「ありがとねぇ、いただきます」

マグカップを受け取って一口飲む、暖かいミルクティーが少しだけ冷えた体に優しい。

「でさ」

「はぁい?」

「ほんとにいいの?」

「・・・改めて聞かないでよぅ!するったらするの!」

それじゃ、と良将が手際よく準備をしてゆく。
その間に指示されたように蜜琉も用意をすます。

「さて、と。それじゃ始めよッか!」

どことなく、何時もより楽しそうで嬉しそうな声に蜜琉が眉を顰めて見つめるのを、大丈夫大丈夫!と宥め蜜琉の隣に膝をつく。
蜜琉が目を閉じてそれに応えた。

「綺麗な耳だよねェ」

耳に触れながら優しい声で囁くのを、蜜琉がくすぐったそうに笑う。

「ありがと、それじゃ・・・お願いね?」

「任せてッ!すぐ終わるからさ」

良将が、小さく印を付けた場所に違わず、躊躇わず針を持った指を滑らせた。

「――ッ」

蜜琉が僅かな痛みにキュッと良将の服の裾を掴む。
手早く穴を開けて消毒液で拭くと蜜琉の持ってきたピアスを嵌める、もう片方も同じ様にして“蜜琉のお願い”を終わらせた。

「痛くねェ?大丈夫?」

目を閉じたままの蜜琉に終わったよと声を掛けると、そろりと蜜琉が目を開けた。
手渡された鏡を受け取って両耳を確認すると、蜜琉が良将へと嬉しそうにはにかんだ。

「平気よぅ、ありがと!なんだか嬉しいわねぇ」

ちょっとだけ痛かったけどねぇ、と蜜琉がウィンクをすると良将も微笑んだ。

「うん、やっぱよく似合ってる!あ、あとさ。あんまり触んねぇようにして、一ヶ月は消毒しねェとだから・・・」

良将の説明を頷きながら蜜琉が頷く。
あれやこれやと注意をしながら、消毒液はサービスとおどけて渡す。
ありがとうと受け取って鞄に仕舞ったのを見て、良将が改めて蜜琉に向き直って口を開いた。

「卒業おめでとッ!・・・大学行っても浮気しねぇでねッ!」

「やーねぇ!しないわよぅ!・・・したらどうするの?」

「泣くッ!!」

顔を見合わせてお互い噴出して、ひとしきり笑った後に蜜琉がからかう様に唇を開く。

「あたしが卒業しちゃっても、浮気しちゃやーよぅ?」

「しねぇよッ!絶対しねェ、他の奴にそういう興味ねぇもん!・・・あ、でもしたらどうする?」

「泣くっ!!」

そうして、もう一度顔を見合わせて笑った、それはとても優しくて幸せな時間だった。

「あ、そうだ」

「なぁに?」

紅茶を一口飲んで蜜琉が小さく首を傾げる。

「ちょっと相談っつーかなんだけど・・・」

雑誌を取り出して、きょとんとしたまま見つめる蜜琉を悪戯っ子のような笑顔で見つめ返した。






スポンサーサイト

コメント

コメントの投稿















管理者にだけ表示を許可する

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。