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映画にいこう 2 

そうして日曜、当日。


待ち合わせたのは映画館もより駅の券売機前。
映画館までは徒歩で15分ちょい、まぁ話でもしてればすぐ着くであろう距離だ。

先に待ち合わせ場所に着いたのはファーの付いた黒コートを着た稀人だった。
手には携帯を持ってはいるが困ったような顔でボタンと格闘している。
朝から何通か蜜琉からメールが着ているが確認しようにもどうすれば見れるのかがわからない。
下手にいじると電源を切ってしまう始末でどうにも出来ないのだ。

待ち合わせ時間まで残り5分。

「おっ待たせーー!遅れちゃったかしらー」

携帯からハッと顔を上げて安堵の笑みを漏らしながら

「いえ、私も五分前に来たばっかりなので」

と返し、まじまじと蜜琉を見る。

真っ黒な見覚えのあるコートから覗くのは茶色の薄手のニットと真っ赤なデニムパンツ、足元はヒールのないぺったん靴。

それから学園で見るよりも少ししっかりとした化粧。

「なぁに?なんかついてる?あたしの顔ー」

「いえ、そのコートあの時のだなぁと思っただけで」

首を傾げながら蜜琉が問いかけ、慌ててなんでもないですと首を振りながら稀人が携帯を鞄にしまった。

「そうそうー、愛用してんのよぅ。予想通り携帯てゆーかメールの使い方わかんなかったんでしょー?」

等とからかいながら映画館へ向かう。

道中の会話は携帯のメールを見る方法と返事を返す方法だったのは言うまでもないが。
映画館に着くと、稀人は落ち着きなくキョロキョロと辺りを見回しては蜜琉に質問をしていた。

子どもに説明するように、ちょっとめんどくさっとか思いながらもあれはこーで、それはそーなのよ等と教えてあげながらチケットを二枚購入する。

「はい、これチケットねぇ」

「なんのチケットですか?」

「映画見る為に必要なのよぅ、無料で見れるもんじゃないからねぇ」

今まで自分が思っていた映画を見るという行為とのカルチャーショックに襲われながらも稀人は一般的に言うところの「映画を見る」という事を学習しているようだ。

なんか、ほんっと田舎の子に都会を教えてる気分だわぁとか思いながらもそーゆーのも結構楽しい。

うん、ありよね。

とか思いながらポスターなんかを見ていると稀人が何時の間にか飲み物二人分とポップコーンを持って立っていた。

「あれー、ありがと!あたしの分も買ってくれたのー?」

「えぇ、他の人たちの真似をしてみたんです。ポップコーンは私が食べてみたかったんですけどね」

傍から見ればカップルに見えるが中身は引率の先生と生徒みたいなノリになっているのは言わなければわかるまい。

程なくして上映時間、指定の席に座り映画が始まるのを待つ。

蜜琉は上映前の予告シーンなどで稀人が驚いたりしてるのが非常におかしくて笑いを堪えるのに必死だったのだが。

稀人が巨大なスクリーンに慣れた頃、やっと本編が始まった。

魔物との契約に我が子の肉体を差し出して強大な力を手に入れた父親、魔物から肉体を取り戻そうと必死に戦う主人公、主人公に付き纏い何時の間にか主人公の支えになるヒロイン。

魔物と戦うシーン等は画面をみるよりも稀人を見ている方がおもしろいんじゃないかというくらい真剣な面持ちで、蜜琉は二重に楽しめたのではなかろうか。

映画も終わり、人の流れに合わせて映画館を出る。


「おもしろかったわねぇ!主人公の子かっこよかったしー」

「えぇ、あの能力者の主人公は素晴らしかったですね。動きも斬新でしたし・・・私も見習うところがありました」

・・・なんか違うとは思ったけど口には出さなかった、だって楽しそうだし映画に対する感じ方は人それぞれだろうし。

ぶっちゃけ説明するのがだるかったとか内緒だ。

映画が終わったのは三時過ぎ頃で、丁度小腹も減ってきた頃合だしどっかでお茶でもしましょーよと蜜琉が提案をする。

「じゃあ、久しぶりに行きたいところがあるんですがいいですか?」

「いいわよぅ、稀ちゃんが行きたいとこって興味あるしねぇ」

確かこっちだったと思うんですと言われながら付いていくと、見覚えのある喫茶店。

「暁夜さんとよくここで話をしたんですよね」

あぁ、兄様によく連れて来て貰った喫茶店だと思い出す。

「どーせロクでもない事教えてもらったんでしょー?あたしが言うのもなんだけど兄様ちょっとシスコンだと思うのよねぇ!」

コートを脱いで席に着きながら蜜琉は笑う。

シスコンってなんですかとか質問されながらレモンティーとアイスティーを頼み、あたしの事は兄様から聞いて知ってるだろうから稀ちゃんの話が聞きたいという蜜琉に今日一日の礼も籠めてとつとつと話をした。

気が付けば四時半も過ぎ、日が落ちる前に帰った方がいいという稀人の意を汲んで喫茶店を出る。

さりげなく奢ってくれた稀人にお礼を言う。

「私のほうこそ今日は映画と言うものがわかりましたし、とても楽しかったです。ありがとうございました」

逆にお礼を言われてしまったが予想通りと言えば予想通りだ。


また一緒に行きましょうと、皆で行くのもきっと楽しいだろうと話をして別れた。

またねと手を振って稀人が駅に向かうのを確認して自分も家に帰ろうと振り返ったそこに。

目を疑うようなのが居た。


続く

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